# 1. 序文
# 1.1 背景
MIDI 2.0はMIDI 1.0の拡張である。MIDI 2.0はMIDI 1.0に取って代わるものではなく、MIDI 1.0の基本的な考え方、アーキテクチャを土台として設計されている。
MIDIは、電子楽器間における通信の世界標準として1983年に誕生して以来、成長を続け、ユーザーに貢献してきた。その後、MIDI業界は一般社団法人音楽電子事業協会(AMEI)とMIDI Manufacturers Association(MMA)による標準化の取り組みを通じて、数十年という長い年月をかけて、MIDIの機能と市場範囲を大幅に拡大してきた。
MIDI 1.0には、将来の拡張を妨げるいくつかの制約があるが、MIDI 2.0ではこれらが解決されている。MIDI 2.0拡張機能の基本的なアーキテクチャは、MIDI Capability Inquiry (MIDI-CI)規格によって定義されている。
MIDI-CIによって、双方向通信が可能なDeviceは、MIDI 1.0との後方互換性を担保しながらMIDI 2.0の拡張機能を使用することができる。
MIDI 2.0は独立した規格ではない。MIDI 2.0を実装するには、メーカーと開発者はMIDI 1.0を理解しておく必要がある。
MIDI 2.0 Specification Overviewでは、MMA/AMEIが発行する規格のうち、MIDI 2.0規格に属する規格群を定義する。
また、DeviceがMIDI 2.0互換性を主張するための最小要件についても定義する。
# 1.2 関連文書
The Complete MIDI 1.0 Detailed Specification, Document Version 96.1, Third Edition, Association of Musical Electronics Industry, http://www.amei.or.jp/ (opens new window), and MIDI Manufacturers Association, https://www.midi.org/ (opens new window).
MIDI Capability Inquiry (MIDI-CI) Version 1.1, Association of Musical Electronics Industry, http://www.amei.or.jp/ (opens new window), and MIDI Manufacturers Association, https://www.midi.org/ (opens new window).
Common Rules for MIDI-CI Profiles, Version 1.0, Association of Musical Electronics Industry, http://www.amei.or.jp/ (opens new window), and MIDI Manufacturers Association, https://www.midi.org/ (opens new window).
Common Rules for MIDI-CI Property Exchange, Version 1.0, Association of Musical Electronics Industry, http://www.amei.or.jp/ (opens new window), and MIDI Manufacturers Association, https://www.midi.org/ (opens new window).
Universal MIDI Packet Format and MIDI 2.0 Protocol, Version 1.0, Association of Musical Electronics Industry, http://www.amei.or.jp/ (opens new window), and MIDI Manufacturers Association, https://www.midi.org/ (opens new window).
# 1.3 用語
Device: ハードウェア機器またはソフトウェアアプリケーションおよびプラグインソフトウェア。
MIDI-CI: MIDI Capability Inquiry (MIDI-CI)規格。
MMA/AMEI: MIDI Manufacturers Associationおよび一般社団法人音楽電子事業協会。
Profile: MIDIメッセージと、そのメッセージに対して定義された応答のセット。Profileには、必ず対応しなければならない最低限のメッセージセットと、それに加えてオプショナルなメッセージセットがある。General MIDIはProfileの一例である(ただし、オリジナルの形式ではMIDI-CI Profileのすべての要件を満たしているわけではない)。General MIDIは、1つの仮想ケーブル(またはストリーム)の16個のチャンネルすべてでGMメッセージをサポートするための要件を定義している。今後のProfileでは、仮想ケーブル内の1つのチャンネルのみのサポート、あるいは複数の仮想ケーブルまたはグループを使用した16個を超えるチャンネルのサポートが定義される可能性がある。
Property Data: Property Exchangeによってアクセスできる、Deviceの1つまたは複数のプロパティ。
Protocol: MIDIの制御メッセージのセマンティクスを定義する、データのメッセージ構造。MIDI 1.0のプロトコルには、送信されるコントロール・メッセージのオペコード、システム全体のメッセージ、16個のMIDIチャンネル形式の一部のメッセージのアドレス指定、そして一部のメッセージ・タイプ用に特定のオペコードに関連付けられた値が含まれる。
Receiver: SenderからMIDIメッセージを受け取って解析するMIDI 1.0のDeviceまたはMIDI 2.0のDevice。
Resource: Property Dataのセット。
Sender: MIDIメッセージを生成してReceiverに送信するMIDI 1.0のDeviceまたはMIDI 2.0のDevice。